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女性たちの才能を開花させたい

RICCI EVERYDAYを語る上で欠かせないのが、プロダクトの作り手である女性たち。RICCI EVERYDAYで働く女性は、みな子どもを抱えるシングルマザーです。私は2014年にとある女性に出会い、何か彼女とともにできないかと考え始めたことから、事業立上げについて構想を練り始めました。

首都近郊のナンサナ(カンパラから30分)という町。友人を訪ねに出掛けたところ、一人のママに出会いました。彼女の名は、"ママ・マディナ"(マディナちゃんのママという意味。本名はナカウチ・グレース)。彼女一人で子ども4人を育てています。

初めは本当に何もなかったそう。家も、何も。でも旦那さんを病気で亡くし、家族の生活を養うためにはお金が必要だったため、彼女はまずは路上でチャパティ(クレープの分厚い版)を売って、小銭を稼ぎ始めることから始めたそうです。それで貯めたお金を使って土地を借りて畑を耕し、自給自足の生活をスタート。ある時ブタを買い繁殖させ、今では小規模ではあるけれどれっきとした養豚業を営むほどに。子どもたちのSchool Fee等まとまったお金が必要になったら、この豚を売ってお金を作っているそうです。さらに、友人がやっていた養鶏業に習ってニワトリを飼い始め(家の中で苦笑)、卵を子どもたちに食べさせたり、販売したりしていました。

この国でゼロから何かを始め軌道に乗せることは、本当に難しいことです。けれどママ・マディナは「ンポランポラ(ちょっとずつ)」とニコニコ微笑みながら、軽やかに、でも着実にビジネスを大きくし、家族の生活レベルを向上させてきました(今では立派なレンガのお家も建ててしまった)。彼女がここまで来ることができた理由はなんだったのだろうかと、私は考えるようになりました。また彼女に出会えたことで、これまで貧困からの脱出は援助によってしか成し遂げられないのではないかと思っていた自分に、何らかのヒントが与えられたような気持ちになりました。

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現在ウガンダの18歳以下の若年層は全人口の60%を占め、その大部分が初等教育を受けられるものの、何らかの理由でドロップアウト、もしくは経済的な理由から高等教育のへのアクセスが限られています。高い専門技能や学力を得る機会がないまま、社会に出ることになってしまった彼らは、失業率の高いウガンダでは、まともな職業につくことは到底難しく、生計を立てることを困難としています。ウガンダの失業率の高さについてですが、例えばかつて東アフリカの東大と呼ばれたマケレレ大学を卒業した人でも、就職率は30%以下と言われているほどです。

とりわけ女性は、教育・仕事を得られにくい状況にあり、中には苦境に追い込まれ、やむを得ず売春婦となるケースもあると聞きます。子どものいる女性なら、なおさら。しかし売春婦として働くことは、客からの暴力や、性感染症の罹患、臨まない妊娠をしてしまうリスクを高め、彼女たちを更なる経済的苦境に立たせることになります。それだけでなく、偏見に伴う社会的地位の低さ故に、コミュニティの中で隠れて生きていかなくてはならない状況を生み出します。そして一度陥った貧困から抜け出すことは難しく、彼女たちの子どもたちにも、貧困の連鎖が影響する可能性があるのです。

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この状況をどうにか変えられないか、ママ・マディナのように、持って生まれた才能・スキルを伸ばすことで、経済的にも自立した生活を構築し、家族が満たされた生活を送れるようになる環境を生み出せないかと思ったのです。

そこで、この国で盛んなテーラリングのスキルはあるが仕事がないシングルマザーたちを集め、事業を始めることにしました。現在所属している5人のママたちは、テーラリングやレザースティッチにおいて、それぞれが才能を開花しています。それだけでなく、これは想定外だったのですが、生産管理や在庫管理、メンバーの勤怠管理からトラブルシューティングまで、工房の運営に必要なマネジメントスキルも、実地訓練(笑)にて培われているのを日々実感します。

いつのまにか、単なる雇われテーラーではなく、一ビジネスパーソンとして、皆が自信をもって生き生きと働く工房になりました。いったいぜんたい何がどう作用し、こんな素敵なビジネスパーソンの集団になったのか、私が知りたいくらいですが、それはおいおいまた考えながら纏めることにしたいと思います。

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