アフリカン・プリント・ヒストリー(中編)日本とアフリカを繋ぐ生地

こんにちは。
RICCI EVERYDAY The Hill (代官山直営店舗)メンバーの真崎宏美です。

今回は前編に引き続き、アフリカン・プリントの歴史についてお伝えしていきます。
19世紀オランダの影響により、ろうけつ染めが海を渡って誕生したアフリカン・プリント。その後アフリカン・プリントは、どのように世界中に存在感を示すようになったのかご存じですか?実は、アフリカン・プリントが世界に広まった背景には、日本も大きく関わっていたのです。
今回は、日本とアフリカン・プリントの関係も見ながら、世界中に広まった歴史を紐解いていきましょう。

  1. アフリカン・プリントのグローバル化と生産の多様化
  2. 日本で生まれたアフリカン・プリント

1. アフリカン・プリントのグローバル化と生産の多様化
西アフリカにもたらされたアフリカン・プリントは、初期の頃はヨーロッパ企業による生産で独占されていました。ヨーロッパによるアフリカン・ワックス・プリント到来以前から、アフリカ独自の織物・染色工業は確かに存在していましたが、小規模での生産であったため、高価なものとして認識されていました。そこへ、より安価で大量生産が可能なヨーロッパ企業によるアフリカン・プリントが到来したことによって、西アフリカを超えて広くアフリカ全体へ浸透していくことになります。

第二次世界大戦終了後、多くのアジア諸国が独立、工業化を果たし、アジア各国の企業がアフリカン・プリント市場に参入してくるようになりました。また、1960年代に入るとアフリカ各国の独立が相次いだことから、独立後の経済を作るため、アフリカ現地でアフリカ人によるアフリカン・プリントの生産も始まるようになります。こうして、ヨーロッパ以外の地域もアフリカン・プリントの生産に大きく関わる時代へ変化していきました。

また、このような背景から、従来のワックス・プリント以外の生産方法も生み出されるようになりました。ワックス・プリントは、ろうによる防染作業に時間がかかっていたため、この作業を省きより効率良く生産できるイミテーション・ワックス・プリントという方法が開発されました。さらに、前編でご紹介したファンシー・ファブリックの生産方法も、同時期の生地の大量生産を目的として開発されたものでした。
ファンシー・ファブリックとは、アフリカの衣類が、徐々に西洋化していく中で浸透した生産方法でもあり、布を身体に巻くような服装から、次第に袖や裾などを縫製する洋服へと服装が変化する中で開発されました。それにより、ワックス・プリントにはないドレスのような自由なデザインが展開されるようになりました。ファンシー・プリントは、アフリカ全体で需要がありましたが、特に西アフリカでの輸出入が盛んに行われていました。

2. 日本で生まれたアフリカン・プリント
ヨーロッパに限らず、世界各国でアフリカン・プリントが作られるようになりましたが、実は日本でもアフリカン・プリントが生産されていたというのはご存じでしたか?日本からのアフリカン・プリントの生産は、1950年代から本格化し1980年代前半まで続きました。当時、西アフリカは旧宗主国のフランスにより繊維産業は独占されていたため、日本製の輸出の多くは、東アフリカが中心でした。特にケニア・ウガンダ・タンガニイカ(現:タンザニア)の3国は、日本からの輸出が順調に進み、輸出の3分の2以上が繊維品で占められていたほどでした。

国内でアフリカン・プリントの生産を手がけていたのは、ほとんどが関西の企業でした。中でも、京都の大同染工株式会社は、1970年代までプリント加工数量、輸出比率ともに日本一を誇っており、最も勢いのあった時期では、40%近くをアフリカに輸出していました。日本企業は、主にワックス・プリントによる生産を得意としていましたが、他国と比べて距離が遠い日本は、アフリカの現地生産に太刀打ちするべく「グリーン・ワックス」という、新たな商品開発も行いました。グリーン・ワックスとは、大同染工が開発した商品で、ファンシー・ファブリックに分類されるものです。鮮やかで独特の濃さを持つグリーンの色合いが特徴的で、アフリカでは最高級プリントであると評価されていました。しかし、1970年代後半に入ると、グリーン・ワックスの染料は、公害の観点から製造が禁止されるようになってしまいました。さらに、アフリカ現地での生産の急増や円高による価格の高騰により、1980年代には日本の染色・繊維産業は、アフリカン・プリント市場から完全に撤退することとなりました。

いかがでしたか?遠い地域だと思っていたアフリカですが、実はアフリカン・プリントを通して、日本と繋がっていたんですね!
次回は、後編としてアフリカン・プリントの現在についてお伝えしていきますので、お楽しみ!

参考資料:

Pan Fabric公式サイト-アフリカ生地・布の歴史-
・「カンガ主張する布」織本知恵子著
アフリカ雑貨アザライ公式サイト−African Print−
・アフリカンプリント−京都で生まれた布物語−  並木誠士・上田文・青木美保子著
POLEPOLE KANGA SHOP公式サイト

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