アフリカン・プリント・ヒストリー(前編)誕生の軌跡

こんにちは。
RICCI EVERYDAY The Hill(代官山直営店舗)メンバーの真崎宏美です。

皆さんは、色鮮やかで多様なデザインを持つアフリカン・プリントがどのように作られ、アフリカ全体や世界に広まったのかご存じでしょうか?

魅力あふれるRICCI EVERYDAYの商品に欠かせないアフリカン・プリントの歴史を、前編・中編・後編の3本立てで紐解いていきます。

前編の今回は、アフリカン・プリントの生産方法をご紹介した上で、大航海時代にまで遡り、アフリカン・プリントがどのようにできたのか探っていきましょう!

 

1.アフリカの布文化はどのようにできたのか?
2.アフリカン・プリントはどうやって作られている?
3.アフリカン・プリントはジャワ島にルーツがあった?

 

1.アフリカの布文化はどのようにできたのか?
アフリカン・プリントは、西アフリカや東アフリカなど、地域によって非常に多様な布の歴史を持っています。
RICCI EVERYDAYにも馴染みが深い、ウガンダが位置する東アフリカでは、布にまつわる歴史はどのように紡がれていたのでしょうか?

東アフリカでは、もともと7世紀頃から沿岸地域のケニア・モンバサを中心に、アラブ圏との交易が盛んに行われてきました。それによりバンツー系の文化とイスラム文化などが混ざった、スワヒリ文化が形成されてきました。

歴史的な記述によると、実は15〜16世紀頃から東アフリカ地域の人々は、既に木綿布に、宝石や金などを装飾した衣服を纏っていたと言われています。19世紀頃になると、ザンジバル諸島がインド洋交易の中心的な拠点となり、世界各国から様々な布が取引されるようになりました。

そのような背景から発展してきたのが、「カンガ」です。カンガとは、東アフリカで発展してきたコットン製の一枚布で、東アフリカ沿岸部の女性たちが複数のハンカチを縫い合わせて、巻き衣として使用したのが始まりだと言われています。カンガには、布の中心に「ジナ」というスワヒリ語のメッセージが記されているのが特徴です。人生の教訓や愛のメッセージを布に記すことで、人々は交流していたのです。

2.アフリカン・プリントはどうやって作られている?
では、現在のアフリカン・プリントはどのように作られるようなったのでしょうか?アフリカン・プリントは、冒頭に紹介したカンガとルーツは全く異なります。まずはアフリカン・プリントのルーツを探る基準となる、生産方法を確認してみましょう。

アフリカン・プリントは、生産方法の違いによって、現在2つの分類が存在します。主には、伝統的な「ワックス・プリント」と、現在多く生産されている「ファンシー・ファブリック」という分類です。一般的にアフリカン・プリントと言うと、伝統的なワックス・プリントを指すことが多いです。

まずワックス・プリントは、伝統的なろうけつ染めの技法を使って生産されてきたものを指します。「バティック」とも呼ばれるろうけつ染め技法は、溶かしたろうで布に模様を描いて染める染色方法です。染色の際にろうが防染機能を果たすため、ろうを塗った部分だけ白く染まらず模様を作ることができるほか、ろうをあえて乾燥させ、亀裂模様を作ることもできるのが特徴です。アフリカのワックス・プリントでは、一般的にろうの代わりに、樹脂などを付けて防染する方法が採用されている場合もあります。染色工程において、落としたろうが玉状に残り、生地の地色のところどころに白いムラができやすい他、多くの色を重ねた鮮やかなデザインが魅力です。

一方で、ファンシー・ファブリックとは、デジタルプリントの手法により生産されているものです。ファンシー・ファブリックは、アフリカ諸国の独立以降に広まった綿生地にプリントする比較的新しい手法で、ワックス・プリントより安価で生産することができます。色使いの少ない、あっさりした文様が特徴的で、幾何学文様やレース柄などが多く見られます。

ワックス・プリントでは多くの色を重ねた色合いが特徴なのに対して、ファンシー・ファブリックは1〜2色遣いのシンプルな色合いが一般的です。デザインの特徴としては、ワックス・プリントに比べて時代の流行を反映したデザインも魅力の一つで、歴史的に西欧への普及に伴って多様で自由なデザインが重視されるようになりました。


3.アフリカン・プリントはジャワ島にルーツがあった?
この二つの生産手法はなぜ生まれたのでしょうか?ここでは特に、伝統的なアフリカン・ワックス・プリントが誕生した大航海時代にまで遡りながら、歴史についてご紹介します。

アフリカン・ワックス・プリントの起源は、19世紀の植民地時代にまで遡ります。皆さんは、アフリカン・ワックス・プリントはどこで生まれたのかご存じでしょうか?実は、アフリカ大陸で誕生したのではなく、遠く離れたインドネシアの伝統的な染物の手法を、オランダが持ち込んだことが由来とされています。

17世紀中頃、オランダは東インド会社を通じて南アフリカや東南アジアに進出していきました。その過程でオランダは、植民地であったインドネシアのジャワ島で発達していた、伝統工芸品の更紗(通称:ジャワ更紗)のろうけつ染め技法に目をつけ、オランダ独自のろうけつ染め技術を開発しました。

この動きの背景には、オランダがインドネシアのろうけつ染めを機械化し、大量生産することで産業発展に貢献することを狙いとしていたと言われています。しかし、この技術はろうけつ染め市場では普及しなかったため、オランダは新たな市場での使い道を模索していました。そんな中、植民地であった西アフリカ諸国に、ろうけつ染めの生地を輸出するとたちまち人気となり、ダッチ・ワックス・プリントとして市場を独占するようになりました。

このように、元々アフリカン・プリントは植民地の背景よって、アフリカにもたらされた産物であったのです。

いかがでしたか?カンガは、東アフリカで交易の発達により形成されてきたものである一方、現在のアフリカン・プリントの誕生には、西アフリカにおける植民地の歴史が大きく関わっていたんですね。次回の中編では、アフリカン・プリントがどのように世界中に広まったのかお伝えしていきますので、どうぞお楽しみに!

参考資料:
Pan Fabric公式サイト-アフリカ生地・布の歴史-
・「カンガ主張する布」織本知恵子著
アフリカ雑貨アザライ公式サイト−African Print−
・アフリカンプリント−京都で生まれた布物語−  並木誠士・上田文・青木美保子著
POLEPOLE KANGA SHOP公式サイト

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