国際人権デー:ファッションと人権は切っても切り離せない関係
皆さん、こんにちは。RICCI EVERYDAYスタッフの橋本です。いかがお過ごしでしょうか?
最近は、めずらしく日本の地上波ドラマにはまっており、「アバランチ」「恋です!‐白杖ガールとヤンキーくん‐」「最愛」の3つのドラマを食い入るようにみています!
このドラマの3つの共通点は、「実社会に基づいた話である」こと。さらに、「ひとりの“人間”として生きる意味」も描かれています。
ドラマというエンタメ(非日常)のなかに、リアル(日常)がみえるのです…。
「ひとりの人間として生きる」ってどういうことでしょうか。非常に抽象的な表現ではありますが、「多様性社会」と謳われるようになった現代社会において、(長期的に)深めていくべきテーマだと思います。
さて、毎年12月10日は「国際人権デー」です。
先月11月25日の「女性に対する暴力撤廃国際デー」から本日の「国際人権デー」までの16日間はキャンペーン期間となっております。さまざまな機関がこのキャンペーンについて、発信をおこなっておりますので、ぜひご覧になってみてくださいね。
今回のコラムでは「国際人権デー」についてお話したいと思います。
上手い具合に出だしをスタートさせた私ですが、このテーマでコラムを書くとなったときに、「人権かあ~、どの切り口から書こうかな~?!」と思ったので、ご安心ください(笑)一緒に考えていきましょう!
今回は、国際人権デーについてコラムを書くにあたって、「ファッション×人権」という切り口から書いていこうと思います。
目次
1.国際人権デー、および、人権とは
2.ファッション業界における人権問題
3.トレーサビリティとは
4.さいごに
1.国際人権デー、および、人権とは
「人権」といわれたときに、なんとなく頭のなかで「こんなことを指すのかな」と思い浮かぶと思うのですが、いざ言葉で表すとなると難しいですよね。
ここで、国際人権デーの成り立ちや人権の内容、定義について改めておさらいしてみようと思います。
人権は、各国によって考え方が変わってくるのではないかと考えられていたのですが、第二次世界大戦以降、人権を保障することが世界平和の基盤になるということが国連にて話し合われ、現在では国際的に保障していくものとされています。
それが「国際人権デー」および「世界人権宣言」のはじまりです。
国連で定められた世界人権宣言は、第30条まであります。
その中からいくつかピックアップしてみると、具体的に下記のようなことが書かれています。
第1条
「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。」
第6条
「すべて人は、いかなる場所においても、法の下において、人として認められる権利を有する。」
(国際連合広報センターHPの「世界人権宣言テキスト」から引用)
他にも、信仰、表現、移動の自由や、肌の色によって差別をしてはならない、など細かく書かれています。
2.ファッション業界における人権問題
近年は、ファッション業界において作り手の人権保障にスポットがあてられています。
ファストファッションからハイエンドブランドまで、多くの作り手たちが、劣悪な環境で休まず、安い賃金で働かせられていることがどんどん明るみになってきました。
それが知られる大きなきっかけとなったのが、「ラナ・プラザ事件」です。
バングラディシュのラナ・プラザビルが崩壊したことによって、そのビルでファッションブランドの洋服を作っていた多くの作り手たちが犠牲となり、さらに、劣悪な環境で働かされていたことがわかったのです。
これにより、ファッション業界では、どのように、誰の手によってプロダクトが作られているか、環境に良い素材を使用しているかなどを、消費者に提示するようになりました。
消費者側にも、どの企業のプロダクトを購入するかという意識(個々人、社会全体ふくめて)がでてきました。
今では「サステナブル・ファッション」というワードも現れ、さまざまなシーンで使われています。
そして現在、注目されているワードが「トレーサビリティ」です。
3.トレーサビリティとは
「トレーサビリティ」とは、「そのプロダクトの移動を把握できること」です。
プロダクトが誰によって、どこで生産され、それがどのようにして消費者のもとに渡っているのか、その一連の流れを追跡し、把握することです。
スーパーで売られている野菜やお米のパッケージに「〇〇さんが作りました」という写真が載っているものを見たことある方も多いと思います。これもトレーサビリティーのひとつです。
ちなみに、日本の農業・食品業界ではトレーサビリティーが2000年代にとり入れられており、EU諸国、アメリカではほとんどの食材にトレーサビリティを提示することを義務化しています。
トレーサビリティをちゃんと把握することは、作り手・消費者を守ることにつながります。
作り手の存在がわからなければ、どんなに作り手が劣悪な環境で働いてても消費者はそれに気づかず、そのプロダクトを消費し続けることになり、作り手を助けることができません。
ファッションにおいて、近年話題となっているのが新彊ウイグル自治区で生産されたコットンについてです。
ウイグル自治区で生産されたコットンは、強制労働をさせられているウイグル族たちによって生産され、さらには、日本のファッション企業でそのコットンが多く使われていたことも明るみになっています。
「そんなの企業の問題だよ」と思うかもしれませんが、その企業が提供したものを消費者(私も含め)が購入し使っていたと思うと、無視できない問題です。
トレーサビリティがあることによって、このような問題も可視化されるようになり、私たちも自分ごととして考えられるようになりますね。
私もこの問題が出てきたときに、もうすでに、その企業でつくられたものを使用していたので、ショックでしたが、買った分はちゃんと最後まで着ることにし、新たに買い足したりはあまりしていません。
(正直「買い足していません」と断言できないところが、悔しいところ。日本の経済状況や、産業の問題にも派生してくるので、実はとても複雑な問題)
4.RICCI EVERYDAYとトレーサビリティ
RICCI EVERYDAYでは、様々な場面で、プロダクトが誰によって、どのように作られているか、どのような素材が使われているかをお伝えすることを大切にしています。
製品や、製品をつくるスタッフのバックグラウンドをお伝えすることによって、お客様に、製品に愛着を持って、長く使っていただきたいと考えています。
それをお伝えすることは、企業理念のひとつである「“正しいこと”に、真摯に、本気で。」に繋がってくるのではないかと思います。
「正しいこと」をちゃんと遂行していく責任があるということです。
このように「世界人権デー」というトピックおよび、テーマを考え、コラムを執筆し、皆さんにお伝えしていくことも、ひとつのトレーサビリティの要素になるとも思います。
トレーサビリティを続けていくことにより、良い循環を生み、次世代の人たちにも受け継がれていくのではないでしょうか。
4.さいごに
今回のコラムでは、社会的な、もっと言うと、政治的な話をお送りしてきました。
「ファッションは政治とは関係ない」という声を耳にすることがありますが、ファッションほど政治的なものはないと思います。
ファッションは、社会や人々の考え方によって、良くも悪くも姿を変えてきた歴史があります。だからこそ、「人々の生活」と「ファッション」を切り離すことはできないですし、そこに人間が関与しているからこそ、人権も重要なテーマのひとつになってくると思います。
人間の多様な在り方を表現してくれるファッションだからこそ、作り手と消費者のお互いが、気持ちよく作れる、または、身に纏うことができるものを生み出したいですね。
できることから始めていく。それは、個人の行動としては大きな効果をうむことはできないかもしれませんが、みんなで一緒にやっていくと、大きな輪となり大きな変化を生み出せるときがくるでしょう。
RICCI EVERYDAYでも、企業理念を忘れることなく、作り手や環境を大切にし、皆さんに気持ちよく使っていただけるプロダクトを作っていきます。
参考資料
・国際連合広報センター 「世界人権宣言テキスト」
https://www.unic.or.jp/activities/humanrights/document/bill_of_rights/universal_declaration/
・農林水産省 「トレーサビリティ関係」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trace/
・Diamond Chain Store online 「サステナブル・ファッションは救世主か?アパレル業界でトレーサビリティが進まない単純な理由 」